煎茶 花月菴会

御挨拶

煎茶花月菴流六世家元
田中 香坡

花月菴流は、高遊外売茶翁の精神に心酔した流祖田中鶴翁が、自らをその伝承者と任じ、研鑽を積む中、翁の志を慕う文人達が集い生まれました。
従ってその点前は、翁の精神と同様、虚飾を廃し、華美に走る事無く、ただ純粋にお茶を美味しく、また清潔に喫するための手順です。必要最小限の動作を無駄のない順序で行う。そこに独自の様式美も生じました。
花月菴流は、点前も二百年変わらない、他には珍しい古風な流派だと評される事もありますが、お茶を美味しく淹れる方法が、先人達の知恵により収斂され、その最も合理的な結果が点前として伝承されていると言うのが正しいかもしれません。点前における一連の動作は、茶席に限らず、皆様がご家庭で美味しいお茶を召し上がるためにも役立つ手順です。今後、いくつかの点前もご紹介出来ればと思います。

このホームページが、煎茶の世界との接点となり、皆様のより豊かな日々への一助となれば幸いです。

煎茶花月菴会 代表理事
南坊城 充興
(道明寺天満宮名誉宮司・大阪護國神社前宮司)

花月菴流の門人及び煎茶文化を解する者の交流の場として「煎茶花月菴会」が設立されました。道明寺天満宮に於いて藤澤南岳先生の唱えにより明治36年から孔子を祀る「釋奠会」という会があり、祭典の煎茶席を花月菴で担当頂いている関係で私が初代会長に推挙されました。

以来毎年全国各地で会員総会とお茶会を開催させて頂いております。
そもそも花月菴流は、売茶翁高遊外・聞中和尚の衣鉢を継いで煎茶の道を極めた田中鶴翁(1782~1848)により創流されました。天王寺にある現在の家元邸は二代得翁より住まれています。太平洋戦の大阪大空襲に於いて廻り全てが廃虚と 化しましたが、花月菴は奇跡的にその焼失を免れ、流祖鶴翁以来の諸道具、とりわけ木村兼葭堂から一括で譲られた売茶翁所持の茶具も今に残ります。売茶翁を源とする正統煎茶の証とお茶会などで間近に接する機会を持てる事は望外の喜びです。

代々の御家元は、禁裏や将軍家に繋がりを持たれ、また時の文人墨客との広い交流の中で流派を守って来られました。是から煎茶の風雅を嗜む私たちも、日本文化の伝統護持と次世代への継承に共に汗をかきましょう。

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